小規模宅地等の特例 - vol.2 -

前回、小規模宅地等の特例の概要について記載しました。

今回から各論についてみていきますが、その前に全般的な留意点についてここで記載しておきます。

 

❏「宅地等のうち一定のもの」の範囲

小規模宅地等の特例の対象となる「宅地等のうち一定のもの」の範囲ですが、建物または構築物の敷地の用に供されている宅地等を指します。そして、以下の項目は除外されます。

(対象外)

・農地および採草放牧地

棚卸資産およびこれに準ずる資産

 

上記のうち、農業用の建物の敷地は要件を満たす限り事業用宅地等に該当します。

ただし、以下に該当する場合、小規模宅地等の特例の対象とはなりません。

 

引用元:国税庁HP

URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124_qa.htm#q2

(1) 温室その他の建物でその敷地が耕作の用に供されているもの

(2) 暗きょその他の構築物でその敷地が耕作・養畜等の用に供されるもの

上記に該当する場合、農地等の納税猶予の特例を適用します。

No.4147 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例|国税庁

 

❏小規模宅地等の特例の適用外の宅地等

以下の宅地等は小規模宅地等の特例の適用外となります。

・相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等

・「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等

・「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等

 

(参考)

個人版事業承継税制)|国税庁

No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

 

小規模宅地等の特例 - vol.1 -

個人が相続等により財産を取得した場合、被相続人等から宅地等が含まれることがあります。この時、宅地等(土地または土地の上に存する権利)が一定の要件に該当する場合、一定の面積の部分(小規模宅地等)について、相続税評価額を減額する制度があります。これを小規模宅地等の特例といいます。

 

対象となる宅地等は以下のいずれかに該当するものです。

❏特定事業用宅地等

❏特定同族会社事業用宅地等

❏特定居住用宅地等

❏貸付事業用宅地等

 

上記に該当する宅地等については、以下の割合で相続税評価額を減額します。

❏特定事業用宅地等

限度面積:400㎡

減額割合:80%

❏特定同族会社事業用宅地等

限度面積:400㎡

減額割合:80%

❏特定居住用宅地等

限度面積:330㎡

減額割合:80%

❏貸付事業用宅地等

限度面積:200㎡

減額割合:50%

 

小規模宅地等の特例の適用に当たっては、いくつかの要件を満たす必要があります。次回以降は、各パターンに分けて留意点等をみていきます。

 

(参考)

No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

配偶者居住権の取り扱い

配偶者居住権の取り扱いについて、別ブログ『かいけい日記』に掲載しましたので、こちらにも再掲します。

 

配偶者居住権の相続税法上の評価 - vol.1 - - かいけい日記

 

念の為、配偶者居住権について基本的なところを整理しておきます。

引用元:法務局HP

URL:https://houmukyoku.moj.go.jp/maebashi/page000001_00235.pdf

配偶者居住権とは,夫婦の一方が亡くなった場合に,残された配偶者が,
亡くなった人が所有していた建物に,亡くなるまで又は一定の期間,無償で
居住することができる権利です。 

 

つまり、建物に関する権利を住むことが出来る権利(居住権)と所有する権利(所有権)に分割するということです。

 

配偶者居住権の成立に当たってはいくつかの要件があります。

引用元:法務局HP

URL:https://houmukyoku.moj.go.jp/maebashi/page000001_00235.pdf

1.残された配偶者が,亡くなった人の法律上の配偶者であること
2.配偶者が,亡くなった人が所有していた建物に,亡くなったときに居住していたこと
3.①遺産分割,②遺贈,③死因贈与,④家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと
(①は相続人の間での話合い,②③は配偶者居住権に関する遺言又は死因贈与契約書がある場合,④は相続人の間で①遺産分割の話合いが整わない場合です。) 

 

その他の留意点も以下に記載します。

(留意点)

❏配偶者居住権を第三者に対抗するためには登記することが必要であり、建物の所有者は登記を備えさせる義務を負います。

❏設定登記は配偶者と建物所有者との共同登記となります。

❏設定登記が出来るのは建物のみとなります。

❏故人が建物を配偶者以外と共有していた場合、配偶者居住権の設定はできません。

 

株式等保有特定会社のきほん

財産評価基本通達189(2)の要件に該当する会社は、株式等保有特定会社と呼ばれます。株式等保有特定会社の株式の評価について、別ブログ『かいけい日記』に掲載しましたので、こちらにも再掲します。

 

株式等保有特定会社の概要 - vol.1 - - かいけい日記

株式等保有特定会社の概要 - vol.2 - - かいけい日記

 

(参考)

財産評価|国税庁

取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式の評価について、私が執筆しているもう一つのブログ『かいけい日記』に掲載しました内容があります。こちらにも再掲しますので、お役立て頂けますと嬉しいです。

 

取引相場のない株式の評価 - vol.1 - - かいけい日記

取引相場のない株式の評価 - vol.2 - - かいけい日記

 

(参考)

財産評価|国税庁

財産評価のまとめ

私が執筆しているもう一つのブログ『かいけい日記』に財産評価に関する投稿があるので、こちらにも再掲します。相続においては、財産(特に不動産)を如何に評価するのかが重要となります。

 

財産評価 - vol.1 - - かいけい日記

財産評価 - vol.2 - - かいけい日記

財産評価 - vol.3 - - かいけい日記

財産評価 - vol.4 - - かいけい日記

財産評価 - vol.5 - - かいけい日記

財産評価 - vol.6 - - かいけい日記

財産評価 - vol.7 - - かいけい日記

財産評価 - vol.8 - - かいけい日記

財産評価 - vol.9 - - かいけい日記

 

財産評価の際の指針となるのが、国税庁の公表している財産評価基本通達です。

下記にリンクを添付しておくので、必要に応じて参照して下さい。

 

(参考)

財産評価|国税庁

贈与税のきほん

私の方で執筆しているもう一つのブログ『かいけい日記』で贈与税の基本について整理しておりますので、こちらにも再掲します。

 

かいけいがく vol.135 - 贈与税 Part.1 - - かいけい日記

 

贈与税については、相続税法に規定されております。

 

(参考)

相続税法 | e-Gov法令検索